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問い 14

まちの価値が上がるとどうなる?

最近、「ジェントリフィケーション(gentrification)」という言葉を目にしたことはありませんか?これは、都市のある地区で起こる「富裕化」や「高級化」を指す現象です。簡単に言えば、まちの価値が上がることで、そこに住む人(主に低所得層)やお店の顔ぶれが変わり、もともとあった「そのまちらしさ」が失われてしまうことです。具体的にどんなことが起きるのでしょうか?

ジェントリフィケーションには大きく2つの現象があります。

まず、もともと家賃が低かった衰退した古い地区や都市の周辺に魅力を感じた中産階級の人々が移り住んできます。結果的に家賃が上がってしまい、元々住んでいた人たちが払えなくなって追い出されてしまいます。

もう1つは、もともとその地域に住んでいた人々に向けて商売をしていた商店や食堂、クリーニング屋などが、移り住んできた中産階級向けの商業やサービス業に置き換わって行きます。昔から住んでいた人々の居心地が悪くなり、そのまちを去っていってしまいます。

いずれの場合も、長年その地区を支えてきた人々やお店がいなくなることで、そのまちで培われてきた独特の雰囲気や商業の構成が失われてしまうことが問題視されています。

このような現象を引き起こすのは、歴史的まち並みの保全、過度な観光地化(オーバーツーリズム)、大規模公園など公共空間の整備、など様々です。

例えば歴史地区では、古い建物が老朽化して家賃が安くなり、居住環境は悪いものの、昔ながらの住民・商業者・職人らの受け皿となることで、その地区の伝統産業や暮らし方が維持されます。そこに「歴史的まち並みを守ろう」という動きが起き、保全修復された美しい景観が新しい観光地や映画のロケ地として注目されると、地価が上がり、元の住民が出ていくことがあります。台北の大稲埕では、歴史的なまち並みの保全修復が進んだ一方で、地価の上昇を招いた結果、建物所有者が建物を売って地区外に移る例も見られました。

マレーシアのジョージタウン世界遺産地区では、伝統的ショップハウスがホテルや観光客向けの飲食店への転用が進んでいる。

まちの価値が上がること自体は悪いことではありません。むしろ地域の発展には必要なことです。でも、そのまちを特別にしているのは、そこに住まう人々と彼らの営みです。数字で測れる価値だけでなく、本当にそのまちを価値づけている文化やコミュニティをどう守るか?それは、都市計画やまちづくりに関わる人にとって大切な視点です。

この問いを書いた人

柏原 沙織

この問いのヒントになるコンテンツ

シャロン・ズーキン著(内田奈芳美・真野洋介訳)(2013年)「都市はなぜ魂を失ったか-ジェイコブズ後のニューヨーク論」講談社

アメリカの都市社会学者シャロン・ズーキンが、ニューヨークを舞台に「都市の本質(魂)」が失われていく様を語ります。現在の日本の大規模再開発にも通ずる視点を提供しています。

https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000149600
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