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問い 3

社会が変わると、まちにはどんな影響があるの?

都市がそのカタチを変えるとき

都市が大きくカタチを変える、強制的に変えられてしまうのは災害と戦争です。災害と戦争は、記憶の器である都市を根こそぎ破壊してしまいます。近年、日本には大きな地震が数回ありましたので、みなさんも直接経験しなくともその様子はニュースなどで目にしたことと思います。一方、戦争はウクライナや中東で今も起きていますが、みなさんは遠いことと感じているかもしれません。ただ、横浜・関内地区も第二次世界大戦の空襲で焼け野原になっています。終戦が1945年、たかだか80年前の出来事です。

自動車社会の到来と都市

近代都市がそのカタチを変えた要因はモータリゼーション、すなわち自動車の普及です。それまでの移動手段は、主に歩行と馬車でした。自動車の普及によって、自動車の往来に適した道路整備が必要になりました。1912年、フランスの都市計画家エナールは自動車時代の到来を予測し「パリの拡張と改造のための計画」を発表、都市交通計画の基礎となる交通の種類分けや立体交差などを描いています。自動車はモノとして存在し空間を占有しますので、それに見合った計画が必要になります。また、自動車のみならず現代の乗り物は都市に高速スピードを持ち込みました。スピードは効率と利便性をもたらした一方で、都市の尺度から人間らしさを失わせることとなりました。

コロナ禍で気づいたこと

最近起きた出来事として、コロナ禍がもたらした都市への影響を見てみましょう。コロナ禍ではステイホームが求められ、私たちはいつもと違う生活を強いられることとなりました。一方、コロナ禍という期間限定ではなく、今後の生活のあり方を考える機会ともなり、いくつかの気づきを得ることができました。

 わかりやすいのは在宅ワークの可能性です。今では多くの企業がオフィス回帰を求めていますが、それでも大きな選択肢として残るでしょう。この在宅ワークは社会に大きな影響をもたらすこととなります。例えば、オフィス需要の低下と生活圏の見直しが挙げられます。

オフィス需要の低下は、オフィスワーカーの数が減ることから生じたものです。イギリスでは社会問題となっていて、オフィスの建設・維持管理は大きな経済活動であり、オフィス床を維持するために政府が先頭に立ってオフィス回帰を求める動きが出ています。

一方、自宅周辺で過ごす時間が増えたことにより、生活圏をより豊かにしたいと考える人が増えました。家は寝るだけ、通勤に便利で近所にはスーパーなどの施設があれば良いという利便性重視の考えから、自然が感じられる緑地や散歩道、コミュニケーションが楽しめる居場所など、豊かさが感じられる生活圏が求められるようになりました。

インターネットとA I

先に自動車の普及が都市のカタチを変えたと書きました。インターネットとA Iも自動車と同じく新しい技術の出現であり、社会を変えるでしょう(すでに変わったのかもしれません)。しかし、自動車が物理的に空間を占有するものであったのに対し、情報技術は空間を大きく占有するものではありません。情報技術の都市への影響は直接的ではなく、情報技術が社会を変え、その社会のあり方が都市のカタチを変える、そこにはタイムラグが発生します。

 まず情報技術は「仕事」を変えるでしょう。「A Iによってなくなる仕事」が取り沙汰されていますが、仕事がなくなればその仕事をする場も必要なくなります。人口減少もあいまってそのボリュームは決して小さくないでしょう。「施設のあり方」も変わります。これまでに施設に求められていた機能の一部は情報技術にとって代わられ、むしろ交流など人と人とのやりとりのための空間が重視されることになるでしょう。こうした変化は個々の建築にとどまらず、都市の中でのボリュームや配置にも影響を及ぼすことになるのです。

図:自動車交通到来を予測した立体交差システム
(Eugene Henard :Etudes sur Les Transformation de Paris, 1909)

この問いを書いた人

都市計画研究室

山家京子 教授

人々が豊かに暮らせる都市のカタチを考える。
都市計画研究室
都市計画, まちづくり, 場所のチカラ, 都市再生

この問いに関連する主な科目

  • XXXXX

この問いのヒントになるコンテンツ

新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性の検討について(国交省),2020.2.8.31.

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001360981.pdf

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