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問い 11

「まちに居場所をつくるってどういうこと?」

居場所とは何でしょうか。家でも職場でも学校でもない、ふと立ち寄れて、なんとなく落ち着けて、誰かに会えるかもしれない場所。特別なイベントがなくても、目的がなくても、「ここにいていい」と思える場所のことです。

まちを歩いていて、そんな場所に出会うことがあります。店先のベンチ、道の端の植木鉢、窓からこぼれる光。誰かの気配があって、その隣にすっと身を置けるような場所。居場所は、大きな施設や立派な建物の中だけにあるわけではありません。それは、まちの中にぽつんと置かれた、小さなにじみのようなものから生まれることもあります。

東京・東長崎にある〈MIAMIA〉という店舗では、客席を窓側に置かず、あえて外に向かってカウンターを開いています。道ゆく人に挨拶をしやすくしたり、知らない誰かが立ち止まれるようにしたり。店とまちの境界がゆるむほど、まちの側にも「ここにいていい」という気配が広がっていきます。実際に、店先のわずかなスペースに誰かが植物を植えたり、毎週ラジオ体操会が開催されたりと、思わぬ使われ方が自然と生まれていきました。

居場所について考えるとき、レイ・オルデンバーグの「サードプレイス」という考え方が参考になります。家(ファーストプレイス)でも職場(セカンドプレイス)でもない、第三の居場所。気軽で、対等で、誰でも歓迎される場所。そこで過ごす時間が人生を豊かにし、地域の文化やつながりを支えると、彼は述べています。 居場所をつくるとは、まちに小さな自由区を置くことです。誰かが座れる余白をつくること、挨拶しやすい窓をひらくこと、立ち止まっても怪しく見えない場所を用意すること。そんな小さな工夫が重なることで、まちは人の滞在を受け入れる場へと変わっていきます。まちに居場所をつくるとは、「ここにいていい」と思える空気を、そっとまちに置くこと。それだけで、まちの歩き方も、人との関係も、毎日の景色も、少しだけ変わるのかもしれません。

MIAMIA店内の様子。外にまで座席が溢れている。

この問いを書いた人

一級建築士事務所ara

アリソン理恵

一級建築士事務所ara代表、コーヒーショップMIAMIA、ギャラリーIAM店主。
建築と都市のあいだ、デザインと事業のあいだを行き来しながら、 小さな手入れや風景の気配から都市を考える。 ケアリング・アーバニズムという視点から、暮らしとまちに関わり続けています。

この問いに関連する主な科目

  • まち再生演習Ⅳ

この問いのヒントになるコンテンツ

レイ・オルデンバーグ『サードプレイス ― コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』

家庭と職場の外側にある「第三の居場所」が、人々の幸福や地域文化を支えると説いた本。カフェや公園、理髪店など身近な空間がどのように"居場所"になるのかを、わかりやすく示している。

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